白内障手術について説明すると、患者さんから先生が決めてくださいと言われることがよくあります。逆に、他院で白内障手術しないといけないと医師に言われてうつになったという患者さんが来られたこともありますし、自分は困っていないのに医師から手術をすすめられているが、本当に今しないといけないのかといったこともよく聞きます。
では手術は誰が決めるのでしょうか。以前は、医師が患者さんの最善を考え治療を決めるパターナリズムが主流でした。近年は、医師から情報提供を受け、患者さんが決めるインフォームド・コンセントが望ましいと言われています。ごく最近は、医療チームと患者さん・家族がよく話し合ったうえで「ともに」決める協働的意思決定という考え方が出てきています。
白内障手術は、危険性が非常に低く、確実性が非常に高いですが、誰が手術を決めるのかについては医師によって大きく違います。手術を積極的にすすめる医師は、医師の方が患者さんよりも経験や情報が豊富だから、医師が決めたほうが良いと考えています。判断を患者さんにゆだねる医師は、患者さんの意思を尊重した方がよいと考えています。当院は後者です。
ここで大事なことは、<白内障の手術はいつしたらいい?>でお話ししたようなポイントについて患者さんにきちんと情報提供をしているかということと、患者さんの生活の状況を詳しく聞いているかということです。そして患者さんが納得されていれば、手術することに問題はありません。
次回は、患者さんが手術を決める際の問題点についてお話します。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善