院長ブログ

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2024/01/07 目の基礎知識 視力検査は適当に答えてもいい?

 患者さんに視力検査で少しでもわかったら答えてくださいと言うと、納得できない方が多いようなので説明します。 

 まず眼科での視力(矯正視力)検査とは、目の能力の最高値を測る検査です。目に最も合ったメガネ(近視、乱視、遠視、老眼などの目のピントの異常を補正した状態)で、もっとも細かいものが見分けられるかどうかのぎりぎりの視力を測定したいのです。たとえぼやけたり二重に見えたとしても、Landolt環(Cみたいなもの)の切れ目が少しでも見えたら、そこがぎりぎりの最高の視力ということです。 

  患者さんとしては、なんとなくで答えるとたまたま当たることもあるので、検査として正確でないと思われるようです。そこで、視力検査で当てずっぽうに答えた場合に当たる確率を計算してみます。これは高校数学レベルで難しいので、結論からいうと、約1/10の確率で、めったには当たりません。

 では、具体的に計算していきます。現在眼科で用いている視力検査には斜めはなく、上・下・右・左の4つのみから答えることになります。1回で当たる確率は4分の1です。 

 

  眼科では5回目までに答えたうちの3回が正解であれば、その視力の指標は見えていると判定しています。3回正解する場合には3通りがあります。3回連続で当たる場合、4回目で3回目のあたりが出る場合、5回目で3回目の当たりが出る場合です。

 1つめは3回連続で正解する場合です。これは1/4✕1/4✕1/4の確率になります。 

  2つ目は、4回目が正解して、3回目までに2回正解する場合です。まず3回のうち2回が正解する場合が、1回目が不正解、2回目が不正解、3回目が不正解の3通りあります。Cは高校で習う確率の記号で、3C2とは3つのうち2つを選ぶ組み合わせのことです。それに1回ごとの正解、不正解の確率をかけると、3✕1/4✕1/4✕3/4✕1/4となります。 

 3つ目は、5回目が正解して、4回までの2回が正解する場合です。4回までの2回が正解する組み合わせは、6通りあります。それに1回ごとの正解、不正解の確率をかけると6✕1/4✕1/4✕3/4✕3/4✕1/4となります。 

 

 この3通りの確率を合計すると53/512となり、およそ1/10の確率です。結論としては、あてずっぽうに答えても、間違った視力測定の結果になるということはとても少ないということです。 

 ですので、視力検査を受けるときは、自信がなくても、少しでも切れ目がわかったような気がしたら、是非答えてください。  

編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善 

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