メガネやコンタクトなどピント調節の器具?を使わずに、その場だけ視力を上げる方法に、ピンホール効果を使ったものがあります。
ピンホール効果とは、光(映像)が入ってくる範囲を小さくすることで、ものを見た時のピントが合いやすくなる現象のことをいいます。細かい原理は私も説明できませんが、専門的には焦点深度が深くなるといいます。つまり瞳孔(瞳の開き)がある程度小さいほど、ピントが合いやすいということです。試しに遠くの景色を見ながら、手で小さな穴をつくってそこから景色を見るようにしてみてください。少し良く見えると思います。
この働きが最も影響するのが、暗い所でものを見る時です。暗い所では光をたくさん取り込もうと瞳が開くので、この効果を得られず、さらにものが見えづらくなります。暗い所でものを見るのが良くないというのは、暗い所ではこの効果がないので、余計にピント調節をしなければならず、目に負担がかかるためだと言われています。老眼になって手元が見えにくくなった時明るくするといいのは、このピンホール効果と、明るさによるコントラスト(濃淡)が改善するためとも言われています。人は年齢とともに瞳の大きさが小さくなっていくので、高齢の方が多少ピントが合ってなかったり、白内障が出てきても、ある程度見えてしまうのも、この効果のためのようです。
ただし、これは視力自体を改善するということではありませんので、ご注意ください。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善