今回は子供に斜視があるかどうかをチェックする方法について説明します。
まず赤ちゃんは視力が弱く視線が定まらないので、目の向きの判定は生後4か月以降になります。目の向きを調べる方法は、診察室ではペンライトを両目に当てて行いますが、子供の場合はじっとしていられないので、実際には難しいことが多いです。ご家族が調べたい場合は、スマホのカメラのすぐ上かすぐ下に(多くの斜視は左右の向き)キャラクターのシールを貼って、強制発光にして写真を撮ってみるのがよいようです。子供の集中力は少ししか続かないので、なかなか難しいです。
拡大してみて光の反射の白い点が両目の中心にあれば正常です。判定が可能な状態は、顔が正面をまっすぐ向いていることと、少なくとも片方の目はカメラをまっすぐ見ていることです。だたこれでわかるのはいつも斜視になっている恒常性の方だけです。診察室では片目ずつ交互に隠して視線の動きをみるテスト(遮閉試験)をすることで、間欠性(時々なる)や斜位(片目ずつ見た時だけなる)の診断をしていきます。
いつおこるのかについては、診察室では斜視が出ない場合もあるので、どれくらいの頻度で、どんなときに斜視になるのかをご家族が把握していただくことや、動画や写真などをお持ちいただくと診断の助けになります。
子供に最も多い「偽内斜視」(仮性内斜視)は、実際には内斜視ではないけど、内斜視のように見えるという状態です。子供の顔の特徴として目頭(鼻側の目の角)が大人よりも耳側に寄っているので、黒目と目頭の距離が近く、内斜視のように見えます。これは写真を撮れば一発でわかります。ただし偽内斜視と診断された場合でも、まれに本当の斜視になってしまうことがありますので、経過観察が必要です。
次に多いのが、間欠性外斜視です。これはなるべく目に力を入れずにぼーっと見てもらって写真を撮るとわかります。その次に多い遠視性の内斜視は、近くをしっかり見た状態で写真を撮るとわかりやすいです。
非常にまれな治療を急ぐ斜視は、生後6か月未満でおこる乳児内斜視と恒常性外斜視です。乳児内斜視は早い段階で手術しないと両眼視(立体的に両目で見る能力)が育ちません。片方の目がいつも外を向いている恒常性外斜視は眼球自体に重い病気がある可能性が高いです。
よくわからない場合や不安な場合は是非眼科を受診していただくとよいと思います。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善