視野検査は主に緑内障の診断・経過や、その他の様々な視野が狭くなる病気の診断に使用します。目の視野とは目を動かさずに見える(認識できる)範囲のことで、目を動かして見える範囲ではありません。検査方法としてはまず目は正面を見たまま、動かさないようにします。次に目のまわりに指標(様々な明るさや大きさの光)を表示させます。光を少しでも感じた時にボタンを押して記録します。これを繰り返すことで、視野の範囲や感度(どの光まで感じるか)を測定することができます。病気の種類によって視野が欠ける位置や感度が違います。当院では二種類の機器を導入しております。

一つ目は、ハンフリーフィールドアナライザー3です。この視野計はカメラレンズで有名なカールツアイス社の製品です。ドーム状の閉鎖空間の中に指標(光の点)を出して、指標が見えたかを調べる検査です。この機器は世界的に学会での標準器となっており、論文掲載や身体障害認定の際にも使われます。普及率も高く、病院をかわったとしても、データの推移を把握することができることが多いです。現在は次に説明する最新機器を主に使用しており、身体障害認定時などに限定して使用しております。

二つ目は、アイモVifaという最新機器です。この視野計は一つ目で紹介した世界標準器であるハンフリーをベースにしてつくられた機器です。ハンフリーと同じような検査方法で、同じような結果の表示方法を採用していますので、ハンフリーと同じように運用することができます。特徴としては以下の利点があります。
1,ゴーグル状の機器を目に当てるだけなので、従来の機器のように頭自体をまっすぐ固定する必要がなく、閉鎖空間でもないので、圧迫感がない。軽く下を向く姿勢なので、高齢者も疲れにくい。閉所恐怖症の方でもできる。
2,最新の数学(推定技術)の進歩により、より少ない測定点で、視野の状態を予測することができるので、測定時間が半分以下になった。
3、検査自体の負担(検査時間、姿勢)が減ることで、固視(目を動かさずにじっと正面を見続けること)が容易になり、検査の正確性が改善した。
4,片目ずつ指標を出すことができるので、眼帯をする必要がなく、両目を開けた状態で検査ができる。
欠点としては、以下の点があります。
1,解析ソフト(視野の変化などをグラフにする)には今のところ対応していない。
2,身体障害認定の検査(エスターマン)ではハンフリーの方が正確な検査ができる。
3,検査時間が短いので人によっては検査結果が不正確な場合がある。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善