目のレーザー治療にもいろいろな種類があることがあまり知られていないようですので、説明します。まずレーザーの語源は、私も恥ずかしながら忘れていた?(知らなかった)のですが、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字をとってLASERとのことです。直訳すると誘導放射による光の増幅となりますが、わかりにくいので、レーザーと普通の光の違いを説明します。通常の光は進む方向もばらばらで、色もばらばらで、位相(光の波どうしの山と谷)もばらばらですが、レーザーはそれらがすべて単一になっています。そのため届けたい場所に集中的に光のエネルギーを非常に精密に届けることができます。目の構造は、光を通すために透明な部位が多いことと、非常に繊細な作業のためレーザー治療が適しています。眼科でのレーザーの用途について簡単に説明します。
まず切開です。白内障手術後にまた白内障のような症状が出る「後発白内障」の後嚢切開や、急に目が痛くなり、霞み、充血する「急性閉塞隅角緑内障」の虹彩切開や、近視、乱視、遠視の矯正を行う「レーシック」のフラップ作成などで用いられます。
凝固については,ほとんどが網膜の病気が対象となります。「糖尿病網膜症」や「網膜静脈閉塞症」などでできる毛細血管瘤の直接凝固や、それらの進行を止める網膜光凝固、網膜裂孔(穴)から網膜はくりの予防などがあります。
組織の一部を選択的に傷害するレーザーは、開放隅角緑内障の水の流れを良くすることに用いられます。
組織をけずるレーザーは、角膜のにごりやレーシックの際に角膜の厚さをかえるために用いられます。
それぞれについては、また別のブログで説明します。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善