院長ブログ

DOCTOR’s BLOG

2020/12/17 斜視と複視 疲れ目の原因の「かくれ斜視」ってなに?

 目が原因となる眼精疲労(疲れ目、目の奥の痛み、頭痛、首のこり、肩こり)は第二に、目の向きの問題があります。目の向きは、専門用語では「眼位」といいます。目の向きはじつは、睡眠中など完全にリラックスした状態では少し外を向いています。両目でものを見るときは、目の向きが少し内側を自然に向くようになっています。さらに近くのものを見るときは目の向きを内側に寄せて(輻輳:ふくそう)見ています。正常の場合は左右の目が同じところを見ており、「正位」といいます。この状態で左右の目が違うところを見ていることを「斜視」といいます。

 最も多い斜視は、外斜視で、リラックスした状態の目の向きが普通よりさらに外を向いている状態で、ほぼ子供のころからあります。普段は自分で調節していますが、時々外斜視になる方を「間欠性外斜視」といい、いつも外斜視になっている方を「恒常性外斜視」、片目を隠したときにだけ外斜する方を「外斜位」といいます。問題は、あまり自覚症状がない、間欠性外斜視と外斜位の方です。これらの方は、無意識に目の筋肉を酷使して、目を内側に寄せてものを見続けていますので、眼精疲労の原因になりやすいです。

 

 斜視があるかどうかは、眼科で目を片目ずつ隠して目の向きのずれを見る(交代遮閉試験)をすることで判明します。普通の眼科の検査は、視力や眼圧や眼底検査が主です。目の向きについては、検査をしていないこともあるので、実は長年眼科にかかっていても、斜視については見逃している場合もあります(お恥ずかしい話ですが)。

 ものが二重にみえる症状は、眼精疲労から、ウロウロする、変な感じに見える、気分が悪い、揺れて見えるなど患者さん自身も何と表現したらいいかわからない場合があり、その症状が斜視からとすぐにはわからないことも多いのです。

 よくある例は、勉強しようとすると頭痛がおそってきて集中できない、25歳前後に長期にわたるだるさ、頭痛、めまいなどをおこす、同じ模様が並んでいるタイルやブロックを見た時にふわふわする、本を読んでいるときに同じ行を何度も読みそうになるなどがあります。

 さらに近年はスマホの登場で、さらに近距離で画面を見るのでより斜視の症状が出やすくなっています。人によってはスマホの画面を無意識に片目で見ているという方もおられます。

 治療はプリズムメガネ(目の向きを調整できる)です。これには注意点があって、メガネの正面つまり、目を真っ直ぐ向けた状態でしか効果がないことです。しかも、プリズムメガネの処方については、眼科でも得意としていないところもありますが、メガネ店でも得意としているところもあるようです。

   編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善

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