院長ブログ

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2022/07/10 斜視と複視 高齢の方に多い複視と斜視

 高齢の方の複視と斜視について説明します。まず当ブログ「ものが二重に見える複視とは」で説明したように、複視には単眼複視と両眼複視があるとお伝えしました。

 高齢の方の単眼複視にはメガネやコンタクトレンズをすることで解消する乱視、遠視、老眼など加齢で悪化するピントの異常と、ピントを合わせても治らない白内障などの目の病気があります。白内障による単眼複視はよくある症状で、水晶体(目の中のレンズ)のにごりが原因で起こります。

 高齢の方の両眼複視には、目を動かす筋肉(外眼筋)を支配する神経の異常、その筋肉自体の異常、さらに目の筋肉周囲の加齢によるゆるみなどが原因になることが多いです。

まず神経の麻痺についてですが、これはある日突然起こることが多いです。目を動かす筋肉が麻痺して、片目が動きにくくなり、左右が違う場所を見ることになり、ものが二重に見えるようになります。この原因は最も多いのが糖尿病による小さな血管の閉塞で、まれですが脳の病気が原因のこともあります。

 外斜視と眼瞼下垂(まぶたが下がる)が起こる動眼神経麻痺は、脳動脈瘤破裂の前兆のことがあり、命に関わるので緊急で脳外科に紹介します。私のクリニックでも数名見つけたことがあります。疲れた時に複視が出たり、眼瞼下垂が起こる場合は、高齢の方に限りませんが重症筋無力症の可能性があります。まぶたを冷やすことで眼瞼下垂が良くなるという性質があります。

 次に筋肉自体の異常には、甲状腺眼症があります。これは外眼筋自体がはれてのびることができなくなり、ものが二重に見えます。同時に目が前に出てくる(眼球突出)が起こることもあります。内科に紹介します。

 最近注目されているものに、ためしてガッテンでも取り上げられた「sagging eye syndrome」があります。sagとは「ゆるむ」といった意味で、以前は原因不明の斜視と言われていましたが、目の筋肉周囲の組織が加齢によりゆるむことが原因でおこることが判明しました。上下斜視や内斜視がおこります。

 治療については別のブログで説明します。

 編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善

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