斜視について、ネット上で質問をいただきましたので、説明したいと思います。斜視といっても、眼科の教科書で言えば、本1冊分以上の知識量がありますので、今回は大枠からはじめたいと思います。
斜視とは、左右の目が違うところを向いている異常のことを言います。よく患者さんからどちらの目の斜視ですかと聞かれることがありますが、あくまでも左右の目のバランスが悪い状態なので、どちらの目が悪いとは一概にいえません。斜視の種類には、どの向きの異常なのか、いつ異常がおこるのかで分けられます。向きについては、外斜視、内斜視、上下斜視、回旋斜視などがあります。いつおこるのかについては、いつもなっている「恒常性」、時々なる「間欠性」、片目の視線をさえぎったときだけおこる「斜位」などがあります。
では斜視の何が問題なのかについて説明します。斜視で問題となるのは、外見の問題とものが二重に見える(複視)の二点です。外見については、人が相手の顔を認識する能力はとても敏感で、軽い斜視があるだけでも、相手の顔に違和感を感じてしまうという特性があります。複視については、斜視があれば必ず複視が出るということではありません。元々斜視がある人は脳が順応していて、片目ずつの別の画像をどちらか選んで見ることができるようになっていれば(交代視)、複視はありません。それに対して元々正常な方が急に斜視になると、複視になり、めまいがしたり、目を開けていられなくなったりと、非常につらいようです。
斜視には様々な原因があり、治療もそれぞれ異なります。中には命に関わる病気(脳動脈瘤や、脳腫瘍など)が隠れていて、一刻を争うような状況もまれにあります。別のブログで具体的に説明したいと思います。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善