院長ブログ

DOCTOR’s BLOG

2020/10/28 視力と目のピント 老眼は回復する?

 目の病気以外で視力が低下するもう一つの原因として、前回のブログのピント調節がかかった状態のままになってしまう(ピントフリーズ)ことで遠くの見え方が悪くなるのとは逆に、ピント調節が弱くなってしまうことにより主に近くの見え方が悪くなる場合があります。代表的なものに老眼があります。

 老眼については、40歳くらいから起こり、60歳くらいに調節力がほとんどなくなってしまいます。調節力の低下の原因は、水晶体が年齢的に硬くなることで弾力がなくなり、形を変えられなくなることと考えられています。筋肉の老化ということではありません。この老眼の進み方については年齢によく相関しているようです。人によって老眼が出る時期が違うのは、その人の元々のピントの状態が違うからです。軽い近視の人は、見かけ上老眼が出るのが遅く、遠視の人(若い時はほとんど無症状)は、見かけ上老眼が出るのが早いということになります。

 老眼をなおすということは、水晶体の硬化を元に戻すことが必要になります。水晶体の硬化は白内障の過程の一つですが、白内障については現在のところ有効性が確立された薬はありません。病院で処方する白内障の進行予防の目薬も有効性は完全には証明されていません。ですから、目の筋肉を鍛える訓練やサプリメントなどで老眼をなおすというのは難しいかもしれません。

   編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善

 

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