症状がないのに緑内障と診断されたと患者さんによく言われますので、説明します。
そもそも、緑内障と診断された時点で、視野が欠けている場合と、視野が欠けていない場合があります。
今回は、視野が欠けているのに気付かない理由について説明します。
まず一つ目は、片目だけの視野が欠けている場合です。人は普通両目を開けて生活しています。片目の視野が欠けていても、両目でものを見ていると、脳が両目の画像を合成して、視野が欠けたところを補うので、自分では視野が欠けたことに気付かないということになります。片目をつぶって見てみると、視野が欠けていることに初めて気が付きます。
もう一つは、視野が狭い範囲で欠けている場合です。視野が部分的に欠けていると、その部分のものは見えていません。緑内障の検査結果で、視野が欠けた部分が黒く表されていますが、視野が欠けた部分は黒く見えているわけではありません。欠けた視野の部分は自分では意識することはできず、脳で、周囲の景色と違和感がないように画像を作り変えているので、見えていないことに気が付きません。
ということで、緑内障で視野が欠けていても、自覚症状が出ない場合があります。自覚症状がないからといって緑内障ではないということにはなりません。視野検査をしないと緑内障なのか、緑内障が悪化してるかどうかもわかりませんので、ぜひ視野検査を受けてください。
次回は、視野が欠けていないのに緑内障と診断される場合について説明します。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善