院長ブログ

DOCTOR’s BLOG

2022/01/30 目の出血の種類は?

 目の出血といっても色々な種類があるので主なものについて説明します。

 以前の結膜下出血のブログでお伝えしたように、結膜下出血を眼底出血と混同されることが最も多いようです。結膜下出血とは白目の表面の薄皮の毛細血管からの出血です。これは強膜という目の骨格にあたる膜の外側の出血ですので、目の中に出血が回ることもなく、もちろん脳とつながっているわけでもないので、見た目にびっくりするだけで、病気としては全く心配ありません。

 これに対して「眼底出血」とは、正式な医学用語ではなく、眼底検査もしくは眼底写真と言われる特殊な機械を使って目の中の検査をしてわかる出血のことです。ですから結膜下出血と違って肉眼では全く見えません。眼底出血には、主に目のフイルムに当たる網膜の出血と、硝子体という目の大部分を占めるほぼ水分のところの出血があります。

 網膜の出血には平面として位置(中心部なのか周辺部なのか)と網膜の深さのどの部分かにより自覚症状の出方や重症度がかわります。

 まず網膜の平面としての位置による違いについてですが、中心部(黄斑)に出血をすると急に見えなくなったり、黒いものが見えたりすることですぐに症状が出ます。有名な病気は加齢黄斑変性です。これに対して網膜の中心部以外(視力への影響が少ない)の出血は自覚症状がほとんど出ません。有名な病気が糖尿病網膜症です。

 次に網膜の深さによる違いには、網膜前出血、網膜内出血、網膜下出血があります。これらは主に黄斑の出血の場合が視力に直結するので重要です。網膜前出血が最も視力の回復の可能性が高く、次に網膜内出血で、網膜下出血が最も視力が回復しづらいと言われています。

 網膜以外の出血で最も多いのが硝子体出血です。これは目の中の大部分を占める硝子体(ほとんどが水分)に出血した状態で、網膜に光が届きづらくなるので、墨を散らしたように急に見えなくなります。糖尿病網膜症をはじめ、網膜静脈閉塞、加齢黄斑変性などがかなり悪化した場合に起こることが多いです。非常にまれですが、クモ膜下出血などの脳の病気の出血が目の方にまわり、硝子体出血をおこすことがあります。

 このように目の出血といっても様々な種類がありますので、主治医の先生の説明をよく聞いて理解していただけるとよいと思います。

 編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善

WEB順番受付はこちら
WEB順番受付はこちら