異物、特にコンタクトレンズ(以後コンタクト)が目の中で行方不明になったと来院されることがありますので説明します。
まず目の表面の結膜(白目)は奥に行くとまぶたの裏とつながっているので、奥に入って取れなくなるということはありません。しかし、下まぶたは自分でアカンべーをすると白目とまぶたの裏の境まで見えますが、上まぶたはまぶたを完全に裏返さないとその境まで見えません。これは練習しないとできませんので、ご自分では難しいと思われます。しかも1回ひっくり返しただけではまぶたと白目の境が見えない場合も多いので、さらにもう1回ひっくり返すのはさらに難しいです。コンタクトは透明ですのでそのままでは見えづらく、特に破れたソフトコンタクトはくしゃくしゃになってるので見つけるのが難しいです。眼科では特殊な色素(フルオレセイン)をつけて特殊な光をあてることで見つけることができます。
異物(コンタクト)が行方不明になったという患者さんのうちの多くは、異物(コンタクト)は落ちてしまって目の中には残っていないけど、コンタクトを探すために目をいじくった結果、黒目(角膜)に軽い傷ができて異物があるように感じている状態です。ただし実際にコンタクトが残っている場合もありますし、コンタクト以外の小さな異物は上まぶたの裏に引っ付いていることもあるので、異物感が治らない場合は、眼科を受診されることをおすすめします。眼科医も見つけにくい異物に洗顔料のスクラブ(細かい粒子)があり、よく注意してみないとわからない場合もあります。
知り合いの眼科医からめずらしい例を聞きました。ある患者さんがコンタクトを入れても見えないと来院されたそうです。診察するとコンタクトが何枚も重なって入っていたようです。これはコンタクトを入れたこと(もしくは外してないこと)を忘れて、次のコンタクトを入れてしまい、見えるようにならないので、コンタクトが入っていないと勘違いし、さらに3枚目のコンタクトを上にかぶせてしまったようです。
コンタクトはトラブルを起こしやすいので、何かあれば眼科を受診してください。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善