院長ブログ

DOCTOR’s BLOG

2021/12/29 涙が出る病気 涙道内視鏡の検査と治療について

 涙道内視鏡について説明します。以前の涙道の治療は内視鏡がなかったため、先の丸まった針金のようなものを涙道に入れて、指先の感覚を頼りに治療をしていました。現在でも赤ちゃんの生まれつきの涙道閉塞にはこの方法で治療しています。

 内視鏡検査とは、先にカメラがついた細長い管状の機械を体の中に入れて、直接体の中の観察を行う検査です。最も有名なのが胃腸の内視鏡検査です。涙道の内腔(管の内側の広さ)がとても狭いので,涙道内視鏡は直径1mm以下の非常に細い機械となっています。涙道内視鏡の主な目的は,涙道の閉塞(閉じて流れなくなっている)の部位を直接観察して確認することと、閉塞した部位を再び広げて、涙が鼻まで流れるようにすることです。

 実際の方法について説明します。

1,涙道は多くの部分が骨にそって走っているので人によってはかなり痛みを伴います。当院では痛み止めの筋肉注射と、目頭あたりに注射の麻酔をします。

2,内視鏡を涙点から入れていき、閉塞している部分をカメラのモニターを見ながら、確認します。

3,閉塞した部位が確認できたら、シース(内視鏡に取り付けた筒状のプラスティック)を閉塞した部分に押し付けてこじ開け、その先に内視鏡が通るようにする

4,解放された閉塞部位はそのままではまたすぐ閉じてしまうので、閉じないように涙道チューブを涙道全体に入れて,数か月おいておきます。チューブは図のように鼻まで往復するように入れることで、特に固定しなくても抜けることはほとんどありません。涙は涙道チューブの外側を流れます。

 涙道内視鏡で治療ができない場合、治療しても再発する場合が、2.3割の方にありますので、その場合はさらに専門的な手術(涙嚢鼻腔吻合術)が必要になります。

編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善

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