院長ブログ

DOCTOR’s BLOG

2022/02/05 糖尿病 糖尿病網膜症とは?

 患者さんから糖尿病網膜症とはどんな病気かわかりにくいと言われますので,説明します。網膜症とは目の奥のフイルムにあたる網膜の病気のことです。糖尿病網膜症は糖尿病が発症してから5~10年で出てきます。網膜にたくさんある毛細血管は高血糖(血の中の糖分が高い)が長く続くと障害を起こしてきます。まず初期(単純網膜症)には毛細血管の壁が弱くなり、水漏れや出血をしやすくなります。さらに進行すると、中期(増殖前網膜症)となり、毛細血管に血液が流れなくなり、目の神経がいたんでいきます。さらに進行すると進行期(増殖網膜症)となり、血液が流れなくなった網膜に新生血管という悪い血管が生えてきて、大出血や網膜はくり、急性緑内障を起こしたりして、ほっておくと最終的には失明してしまいます。

 一般の方にとっては中期までは理解できるようですが、増殖網膜症の意味がよくわからないと言われます。増殖という言葉で有名なのはがんで、がんは悪い細胞が勝手に増殖することにより、生きるのに必要な正常な細胞がやられてしまい、最終的には命を奪っていく病気です。増殖網膜症はがんとは違いますが、必要のない悪い血管(新生血管)が生えたり、悪い膜(増殖膜)がはったりする点では同じです。糖尿病の場合は、血の流れが悪くなると、それを改善しようとして組織が間違った反応(血管内皮増殖因子を出す)を起こすことでおこります。間違った反応を起こすという点ではアレルギーにちょっと似ています。早い段階で治療しないと、悪い血管は非常にもろいので大出血を起こしたり、網膜の上に悪い膜がはれば網膜がはがれたり(網膜はくり)、目の水の出口(隅角)に悪い膜がはれば、水が目の中にたまり、眼圧(目の内圧)が上がって目がパンパンになり、強い目の痛みを起こして失明します。

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