遠近両用メガネで目が疲れるとよく言われるので説明します。
以前当ブログ「遠くって何メートルですか?」の中で、目のピントは主に三通り、遠く、中間、近くにわけられると説明しました。メガネには、単焦点(ピントが1点のみで合う)と多焦点(ピントが2点以上で合う)があり、単焦点メガネには、遠く用(遠用)、中間用、近く用(老眼鏡、近用)があり、多焦点メガネには遠近両用、中近、近々などの種類があります。眼鏡メーカーによってデザインは様々ですが、一般的なメガネの種類とどのような場面で使ったらよいかについて説明します。
まず基本として遠近両用メガネが必要になってくるのは、老眼が出てくる40歳より上の年齢の方です。遠近両用メガネで目が疲れる原因には、メガネ自体の特性による場合もありますが、今回はメガネの種類と使う場面が合っていない場合について説明します。
まず、遠近両用レンズは、外出時や運転時など遠くとたまに手元の字を見たりする時に適しています。眼鏡のレンズの上の部分が遠方にピントが合っていて、レンズの下の部分が近方にピントが合うようにつくられています。現在の多くの遠近両用メガネは遠方部分と近方部分の間はゆるやかにピントがかわっていくようになっています。遠近両用メガネは、遠方を見るときは目線を上げるかあごを引くことで、レンズの上の部分を通してものを見るようにします。近方を見るときは、目線を下げるかあごを上げることで、レンズの下の部分を通してものを見るようにします。中間と手元が弱いので、料理、パソコン、読書、スマホなどには向いていません。
単焦点レンズ(遠く用、中間用、手元用など)は、テレビや本、スマホなど一つのものを長時間見る時に適しています。遠近両用メガネでは、レンズの中の一部分でしかピントが合わないことと、顔の向きが少し不自然になるため首に負担がかかり、疲れ目の原因になるためです。
中近重視レンズは、遠方が狭く、中間と近方が広くなっているので、オフィス内の仕事や、自宅の中での生活に向いています。テレビは距離が遠いと見えにくいかもしれませんが、ホワイトボードや食卓、キッチン、パソコン、机の上の書類、本などはよく見えます。
近々メガネはデスク内のみにピントが合うようになっていますので、パソコンと手元書類だけを見るような作業をする方に向いています。
メガネは場面により使い分けたほうが疲れにくいので、メガネ屋さんか眼科でお尋ねください。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善