白内障の手術は患者さんが決める?

今回は、患者さんが手術を決断する時の心の動きについて考えてみます。前にもお話ししましたが、白内障は数十年かけて非常にゆっくり進むので、今手術をしないといけないという状況は、免許更新に落ちた時くらいです。ですから、普通の人はあわてて手術する必要はありません。正直申し上げて、白内障の進み具合と手術したい気持ちは全く一致しないことが多いと普段の診療で感じています。
では何が手術をしたい気持ちを決めるのでしょうか。それには心理的なバイアス(考え方の偏り)がかかわっているように思えます。
近しい人から白内障手術したらものすごく見えるようになったと聞いた患者さんが、白内障は軽く手術の必要がないにもかかわらず、手術を希望される場合があります。これは事前期待比較バイアスといって、あらかじめ大きな期待を持つと、受け止め方が簡単にかわってしまうことです。
逆に白内障が強くても手術したがらない患者さんの心の中は、手術がうまくいかないなど非常に確率の低いことを過大評価してしまう損失回避バイアス、現状を変更することに抵抗を感じる現状維持バイアス、手術に良いイメージがないと、自分に都合の良い情報、たとえば手術がうまくいかなかった人の話などを信じてしまう確証バイアス、などにとらわれている可能性があります。
そうした考え方の偏りを取り払うためには、やはり情報提供と、患者さんへの問診が重要です。ですから簡単に手術を決めてはいけません。一旦は悩んだほうがいいくらいだと私は考えています。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善
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