白内障手術の多焦点レンズについてまとめたいと思います。
これまで当ブログでお伝えしたように、現時点での多焦点レンズは万能ではありません。多焦点眼内レンズを挿入すると、メガネやコンタクトレンズが必要な場面は減りますが、見え方の質(精度)は単焦点レンズに比べてやや劣ることになります。見え方の質と、メガネ・コンタクトレンズが必要な場面を減らすことは、天秤のように、どちらを重視するかという問題になります。ですから、向いていない方がしてしまうと不満が出てしまいます。
実際には、多焦点眼内レンズを使用した多くの方は満足されますが、数%の方が単焦点レンズに入れ替えているという実態があります。当院でも数十例の多焦点眼内レンズの経験がありますが、かなり厳しい説明をして、納得された患者さんのみに使用しています。イメージに惑わされずに主治医の先生とよく話し合って決めてください。
そんな日が来るとはとても思えませんが、眼内レンズ自体がピントを調節できるようになれば、若い頃と同じような見え方を実現できるかもしれません。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善