前々回のブログでお話ししたように、多焦点レンズは単焦点レンズよりも見え方の質が落ちるので、患者さんによっては向かない場合があります。
一つ目は、白内障が軽い方が、老眼の治療のために多焦点眼内レンズを入れた場合、白内障が治ることでの見え方の改善が少ないため、多焦点レンズによる見え方の質の低下の影響が強く出て、余計に見えにくいという不満が出ることがあります。
二つ目に、見え方の質が重要な仕事、趣味などについては、多焦点レンズの見え方では作業に必要な精密な見え方を得られない場合があります。
三つ目に、細かいことが気になる性格の方は、見え方の質の低下や光のにじみなど多焦点レンズ特有の見え方が気になってしまうことがあります。
四つ目に、元々白内障以外に見え方を悪くしている網膜や角膜などの異常がある方は、多焦点レンズでは、生活に必要な見え方を得ることができない場合があります。
五つ目に、高齢の方は、脳の適応力が落ちていて、多焦点レンズの見え方に慣れることができない場合があります。
以上のように多焦点レンズが向かない場合があります。よく主治医と話し合って決めてください。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善