院長ブログ

DOCTOR’s BLOG

2022/04/23 近視 近視の進行予防のために家庭でできること

 ブログ「現在の近視の状況」で説明したように、近年近視は増加しています。近視はメガネなどをかけないと見えないという不便だけではなく、近視の度数が強くなればなるほど、将来目の病気(黄斑変性、緑内障、網膜剥離など)になりやすくなるのが問題です。親御さんの中には子供がメガネをかけはじめたら、あまり気にされなくなる方もおられますが、近視の治療で最も重要なことは、近視が進む成長期に、いかに近視を悪化させないかです。現在の医学のエビデンス(研究などにより証拠がある事実)に基づいて、家庭でできることを説明したいと思います。はじめに出鼻をくじくようですが、近視の進行に最も関係があるのは、両親に近視があるかどうか、つまり遺伝です。片方の親が近視なら2倍、両親なら5倍なりやすいといわれています。しかし近視は遺伝だけで決まるものではなく、環境も大切だと考えられています。 

 まず照明についての報告がいくつかあります。2歳未満の子供について、明るい部屋で寝かせることが多いと近視になりやすいという報告があります。大学生でも真っ暗な部屋にいる時間(夜寝るときのことだと思われます)が長い人が近視になりにくいという報告もあります。

 次に近業(近くを見る作業)についてです。近視は元々近く(手元)を見る場合に調節力をあまり必要とせず、手元を見ることが楽な状態(メガネをかけなければ)だと言えなくもないので、近くばかり見ていると近視になっていくことは理解できると思います。注意すべき点は距離と時間です。現在すすめられているのは、距離を30cm以上とることと、30分ごとに休憩をとることです。30cm以上の距離をとることについては、子供には何でも近づきたがるという習性がありますので、親の注意で従わせるのには限界があります。実際には習慣化してもらうしかないのですが、なかなか難しく有効な手立てはありません。特にスマホや携帯ゲームは画面が小さいのでどうしても近づきがちになってしまうので、それらを使う時間は極力短くするようにしたいものです。しかも手に持って使えるので、寝転がったりしてもできるため、さらに距離が取りづらくなります。ブログ「疲れ目をへらすために、スマホを見る時間をへらすには?」お伝えしたように、動画などの視聴はテレビのインターネット機能やタブレットを使うことをおすすめします。テレビは距離的にはほとんど調節力を使わない「遠く」に属するので、長時間でもほとんど近視には問題ありません。任天堂スイッチは、廉価版でなければテレビにつなぐことができます。やってみるとわかると思いますが、家族で見ることになるので、話題が増えます。余談ですがうちもsnow manのyou tubeを娘に毎日見せられて、メンバーの9人の顔はもとより歌声までほぼ完ぺきに判別できるようになってしまいました。

 次に30分ごとの休憩についてです。これもなかなかハードルが高いと思いますが、やはりタイマーしかないと思います。スマホのアプリでもいいし、我が家では回転するだけでタイマーがかかる置時計を使おうとしています。

 

 次に屋外活動です。研究によると、屋外活動を長くすると近視になりにくいといわれています。特に小学校入学前までの子供さんに効果があるとのことですので、公園などで遊ぶことは大事です。小学生以上では、今の時代は学校帰りに外で遊ぶことは少ないので難しそうですが、学校の昼休みには外で遊ぶことをおすすめします。日陰でも問題ないようですので、直射日光を気にされる場合でもできると思います。中国などでは教室自体がサンルームのように太陽光が当たるように設計された校舎もあるようです。

 その他よく患者さんから尋ねられることにブルーライトがあります。これは夜浴びると睡眠に悪影響があると言われています。近視の予防には関係なく、昼間はむしろ浴びた方がいいという話もあるので、メガネにブルーライトカットを入れることは日本の眼科の学会ではすすめられていません。

 編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善

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