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2023/04/15 黄斑 黄斑上膜(黄斑前膜)とは?

 黄斑上膜(黄斑前膜、以下黄斑上膜)について説明します。黄斑とは、目のフイルムにあたる網膜の中心部の場所のことで、黄斑自体は病名ではありません。黄斑といいますが、網膜や視神経自体が黄色っぽい色をしていて、黄斑はむしろ茶色っぽい色をしています。黄斑はフイルムの中心で、針でついたような範囲で、ものを見るのに非常に大事な部分です。この黄斑は神経細胞が非常に密に配置されていること、血管が無いことなど特殊な構造をしているために、様々な病気が起こりやすい部位です。今回は、この黄斑の表面に膜が張る、黄斑上膜について説明します。

 黄斑上膜とは黄斑の網膜の表面に膜がはり、膜が網膜を引っ張ることにより、網膜の形がゆがみ、見え方に異常が出る病気です。症状は、ものがゆがんで見える、ものが大きく(小さく)見える、中心の視野の一部が欠けて見えるなどですが、症状がない方が多いようです。飛蚊症のある中高年に多く、成人の20人に1人におこり、緑内障と同じくらいの頻度です。以前はこの病気を調べる網膜断層計がまだ普及していなかったので、比較的まれな病気と考えられていましたが、近年この装置が普及し、初期に発見されることが増え、診断される患者さんが急増しています。

 

 黄斑上膜の膜の原因について説明します。原因の一つ目は加齢です。水晶体と網膜の間にはゼリー状の硝子体線維というものが入っていて、これが40~60歳代に液化し、網膜からはがれます(後部硝子体はくり、加齢現象で網膜剥離ではありません)。その際に黄斑部にゼリーの一部が膜状に残り、そのゼリー状の線維が何らかの原因で収縮することで、見え方の異常を起こすと考えられています。

 原因の二つ目は、目の中の炎症(ぶどう膜炎)、網膜の病気(糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜剥離、網膜裂孔)や手術(硝子体手術、レーザー治療)によるものです。これは目の病気自体かその病気に対する手術などが引き金になって、二次的に黄斑上膜ができることがあります。その場合には黄斑パッカーといった別の病名で呼ばれることもあります。

 編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善

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