今回は白内障の手術を決める際の自覚症状について考えてみます。
以前もお話ししたように、白内障は非常にゆっくり進行するため自覚症状は出にくいですが、自覚症状が全くないのに手術することはおすすめしていません。
自覚症状があったとしても、その症状が白内障が原因で起こっているのかどうかをきちんと見極めなければいけません。患者さんにとって圧倒的に知名度の高い目の病気が白内障ですので、目の不調があればすべて白内障のせいだと思われても不思議はありません。しかし上の表のように、メガネなしで見えにくいのは目のピント(近視、老眼、遠視、乱視)の問題で、黒いのが飛ぶのは飛蚊症で、ゆがむのは黄斑の病気の可能性があり、目がコロコロは黒目の表面の異常(ドライアイなど)、涙はいろいろな原因があり、これらの症状は白内障とは全く関係ありません。
当院の患者さんが手術に踏み切った時の自覚症状をグラフにしていますが、やはりほとんどの場合視力が低下することに関連している症状です。知り合いに勧められて手術したいという患者さんがよくおられますが、まず人から聞いた話は一旦忘れて、ご自分の自覚症状をよく考えてから決断したほうがよいと思います。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善