以前当ブログでお伝えしたように、俗にいう目が良い人(正視、軽い遠視)と、目が悪い人(近視)は、乱視を除いて考えると、ほとんどの場合目の奥行きの長さが違うということで、簡単には治せないものということでした。ただ、ちまたには、近視が治るといった話もあり、実際はどういうことなのかを説明します。できれば、ブログ「目がいい人と悪い人の違いは?その1、その2」をご覧ください。
ピント調節のはたらきに異常が起こり、常にピント調節がかかった状態(最近の言葉ではピントフリーズ)のままになってしまうことがある、これが仮性近視、偽近視、調節緊張などと呼ばれ、治療により改善できると言われています。目の中の筋肉をゆるめる目薬で治療できるということです。しかしながら、眼科医の常識として、そのような例は少ないだろうと30年以上前から考えられています。研究データにも古いものしかありません。
文献1、小中学生の近視のうち10%程度が仮性近視
1968年発刊 日本眼科学会雑誌
文献2、仮性近視はほとんど存在しない
1976年発刊 眼科(眼科雑誌)
当院でも、希望される方には目薬をさしていただき、近視がへるかどうかを検査することがあります。残念ながら、少しでも効果がある方は数十人に一人くらいです。
このピント調節のはたらきを改善するために、目薬を使わずに、遠くと近くを交互に見る訓練などがあるようです。
確かに可能性が全くないわけではありませんが、多くの人にあれはまるものではなさそうです。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善