院長ブログ

DOCTOR’s BLOG

2022/10/16 角膜 翼状片の手術とは?

 今回は前回に引き続いて、翼状片の手術について説明します。まず手術の時期ですが、見た目(角膜の白い部分と充血)が気になるからと初期に手術することはおすすめしていません。理由は、翼状片は特に40歳以下で再発が非常に多いことと、再発すると治すのが難しくなることがあるためです。 実際の手術の適応は、翼状片が進行して不正乱視(メガネで矯正できない乱視)が出てきて見えにくくなった場合です。手術は局所麻酔です。黒目に入った白い所を切り取るだけでは、再発する可能性が50%といわれておりますので、結膜弁移植(白目の表面の膜(結膜)をその周囲から移動して縫い付ける)を併用します。手術時間は30分くらいです。万が一再発した場合は、また同じ手術をしても再発する可能性が非常に高いので、大学病院などで特殊な薬剤を使ったり、羊膜移植(妊婦さんの胎盤の一部をもらってくる)が必要になります。はじめての手術を再発率の低い方法でおこなうことがもっとも重要です。

 まずもっとも適切な時期に手術をした患者さんの手術前後の写真をご覧ください。不正乱視が出てくる中期の段階で、翼状片はかなり角膜に入ってきていますが、瞳孔(虹彩のしぼりの中の黒い部分)にはまだ入ってない状態です。手術後充血はほとんどなくなっていますが、人により充血が残ることもあります。不正乱視もほぼなくなりました。

 次に翼状片が瞳孔の中心まで入った状態で来院された高齢の患者さんです。この段階で手術しても、角膜の中心部は完全にはきれいな形にもどらないので、不正乱視が残り、視力は完全には元に戻りません。こうなる前の受診をおすすめします。

 

最後は漁師の方で、手術後1か月までしか通院されず、1年後に再来院された患者さんです。通院を怠ったためかははっきりしませんが再発してしまいました。幸い手術前より進んではいないので経過を見ています。

 令和4年現在で、月にお一人くらいの翼状片の手術をしています。

 編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善 

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