患者さんが目の病気で視力が下がったときに、メガネで何とかなりませんか?と聞かれることがよくありますので、説明します。目はカメラと同じようなつくりになっていますので、目が見えにくい原因をカメラに例えて、考えてみましょう。
カメラがきれいに撮れない原因は、①ピントが合っていない、②レンズが曇っている、③フイルムがダメになっているの3つが考えられます。①ピントが合っていない場合は、目ではメガネやコンタクトレンズをすれば見えるようになります。しかし、②レンズが曇っている場合は、カメラではレンズを拭けば見えるようになりますが、目の病気では白内障などがありますが、治療には手術が必要ということになります。③フイルムがダメになっている場合は、カメラではフイルムをかえればいいですが、目の場合、網膜、視神経は脳神経と直接つながっており、取り換えることはもちろんできませんし、一旦傷をおってしまうと元通りに戻らないことも多いです。
ということで、メガネで解決するのは、①のピントの異常だけで、その他の病気は、メガネでは解決しないということです。眼科医の仕事は主に、メガネで解決しない目の病気を治すということになっています。「視力の低下がメガネですべて解決するわけではない」が正解です。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善