今回は、まだ緑内障になっていないのに緑内障と診断される場合がありますが、そのうちの前視野緑内障について説明します。
緑内障になる流れは、
1、眼圧により視神経乳頭が圧迫される
2、視神経乳頭の形がかわり、視神経線維が薄くなる
3、2の症状が進行して、視野の一部が欠ける
この流れが、数年から10年以上かけてゆっくり進行します。
通常は視野の一部が欠けた第3段階で、緑内障と診断されます。近年の検査機械の進歩、特に網膜断層計の普及により、視神経線維の異常をはっきり確認できるようになりました。つまり、第2段階である、視野が欠ける前に、今後緑内障になることをある程度予測できるということです。その緑内障の手前の状態を、前視野緑内障と定義して、緑内障になる前に早めの治療を選択できるようになりました。早めに治療をはじめるかどうかは、ご家族に緑内障の方がいるか、緑内障が進行しやすい要因が他にあるか、患者さんの性格などにより、話し合って決めることになります。
医師がこのことをわかりやすく説明するのは難しいので、単に緑内障と説明される場合もあると思います。主治医の先生によく聞いてみて下さい。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善