今回は子供のものもらい(めいぼ)の手術について説明します。前回お伝えしたように、小学生までの子供さんは、大人と違って局所麻酔での手術ができません。ではどうするかについてお伝えします。
一つ目は、短時間で麻酔せずに、ものもらいの中身をできるだけ取り出す方法です。野蛮と思われるかもしれませんが、ものもらいは中身だけある程度取り出せば、治ってしまいます。傷口を縫うことはできませんが、まぶたの皮膚はきれいになりやすいので,(手術直後は心配になりますが、)軟膏を塗り続けて我慢すれば、数か月後にはきれいになります。
二つ目は最も確実な全身麻酔での手術です。全身麻酔の場合は総合病院、ほとんどは大学病院に入院してすることになります。全身麻酔自体の合併症は非常にまれですが、ものもらいは命に関わらないので万が一のことを考えると二の足を踏んでしまいます。実際親御さんのご希望で総合病院を受診しても、手術せずに戻ってくることがほとんどです。もちろん手術はきれいにできますが、全く再発しないとは言い切れません。
三つめは、大人と同じように局所麻酔(まぶたに注射)して手術する方法です。麻酔の注射は痛いですが、麻酔が効けば痛みはありません。手術の最後まで我慢できるかはわかりません。
どれを選択するかは体の大きさとお子さんの理解度によります。まず3歳までは暴れても抑えることができる体の大きさと力の強さであれば、無麻酔でできます。4~7歳が最も難しい時期で、抑えるには体が大きすぎ、協力も得られないので、全身麻酔の選択肢しかありません。7歳以上になると特に女の子は我慢ができる場合が多いので、局所麻酔でできる場合があります。いずれにしても、子供さんの場合は手術になることはまれで、他のところに複数のものもらいができることもあるので、折角手術してもまたできたということもざらにあります。
次回はものもらいが多発する場合について説明します。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善