黒目のまわりが白く濁っているので、白内障ではないかと心配されて来院される方がおられますので、説明します。
黒目のまわりが写真のように輪状に白くにごった状態を「老人環」といいいます。特徴としては、痛みや充血などの見た目以外の症状がなく、白目との間に透明な部分があることです。60歳くらいからおこり、80歳以上の方のほとんどにあるとのことです。白く濁った部分は、コレステロールやリン脂質がたまった状態とのことです。黒目に下か上からはじまることが多いです。
白内障と勘違いされることが多いですが、白内障は瞳(瞳孔)の内側の中心部の奥のにごりですので、肉眼で見えることはほぼなく、診察で使う特殊な顕微鏡を使ってはじめて確認することができます。老人環は白内障と違って、見え方に影響を与えることは全くなく、にごりが黒目の中心に来ることもありません。
老人環が若い方にできた場合、「若年環」といい、コレステロールなどに異常が出る病気の可能性がありますので、血液検査をおすすめしています。
黒目の縁が白く濁る病気には様々なものがありますので、痛みや充血などの症状がある場合は、老人環ではなく、重症の病気のこともありますので、すぐに眼科を受診してください。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善