令和7年1月に当院の光干渉断層計(OCT)を買い替えましたので、機能について説明します。この機器の主な用途は、三つあります。

一つ目は、網膜(フイルム)の中心である黄斑部の断層撮影をすることです。黄斑の病気には、黄斑上膜、黄斑変性、黄斑浮腫、黄斑牽引など多数の病気があり、視力に直結します。顕微鏡で直接診察してもとらえることのできない断層画像をもとに、黄斑の病気の治療方針や治療効果の判定を行います。

二つ目は、緑内障の初期診断の補助です。緑内障初期には顕微鏡で直接診察してもとらえられない網膜の部分的な層の厚みの変化を画像化します。この機能は前世代の光干渉断層計から搭載されていましたが、さらに進化しており、より正確な診断ができるようになっています。

三つ目は、OCT血管撮影という新たに搭載された機能です。従来眼底の血管撮影は、造影剤を手の血管から注射して、撮影していました。造影剤によるショックなどの合併症がまれに起こるため、総合病院でしかできない検査となっていました。OCT血管撮影では、造影剤を使うことなく、造影検査に近い検査結果を得ることができるようになりました。詳しい原理はここでは省略しますが、血液中の赤血球の動きをとらえることで、網膜の血管の撮影ができるとのことです。現状では造影検査に完全にとって変わるものではありませんが、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などに威力を発揮します。特に糖尿病網膜症では、無血管(血流がない)領域の有無を見つけることがとても重要ですが、通常の眼底検査だけでは判別しづらく、見落としてしまうことも正直ありました。この新しい機能で、合併症のリスクを負うことなく、検査ができるようになりました。
編著 下関市 まつもと眼科 眼科専門医 松本博善